第28話 少し先の過去の話
★★★
それからも、俺はヒロイン達を順調に攻略していった。
かつてのループで公人と恋人になったヒロインであり――。
そして、かつてのループで公人と恋人になれず、命を落とした負けヒロインだ。
俺はこれまで通りに、前回までのループの記憶と経験を活かし、彼女たちの悩みに寄り添い、命を危険にさらし、俺自身も大怪我を経験しつつ、他のヒロイン達にも協力をしてもらいながらも、各ヒロインの攻略を完遂し。
無事に、彼女ヒロイン全員と恋人になった。
恋人が日に日に増えていくことに、感覚がマヒしてしまった亜希達。
最終的には文句を言われることもなくなり、俺はハーレムルートを進めていった。
死亡イベントは俺が利用したためか、恋人になったヒロインにその後訪れることはなかった。
そうして、誰一人死ぬことなく。
俺はとうとう、卒業式を迎えることが出来た。
これまでの世界では、ヒロインが一人もかけることなくこの日を迎えることは、一度として無かった。
俺は最後にとんでもない死亡イベントが起こるのではと気を付けていたが、それは杞憂に終わった。
卒業するヒロイン達と、これから先も一緒にいることを改めて約束して、その日は帰宅した。
寮に帰り、自室で一人思案する。
果たして、明日は迎えられるだろうか?
俺はこれまでの世界でも、この日を迎えるのが憂鬱だった。
公人に選ばれなかったヒロインが死に、そしてまた高校2年の始業式の前日に戻るのが、定められていたから。
……大丈夫だ、と俺は自分に言い聞かせる。
今回は状況が違う。
公人は脇谷久美という新たに登場した脇役系ヒロインと恋人になり、負けヒロインは全員俺が攻略し、誰一人欠けることなく今日この日を迎えたのだ。
きっと、大丈夫だ。
このルートでは、誰も犠牲者が出ていない。
主人公の公人にとっては、恋人も出来て、知り合いが誰も死なない、最高のハッピーエンドを迎えたはず。
きっと、明日からはこれまで見たことのない、幸せなアフターストーリーが始まるはずだ。
――そう思いつつも、俺は胸中に宿る一抹の不安をかき消すことが出来ないまま、微睡に沈んだ。
★★★
目覚めて俺はまず日付を確認して――落胆した。
今日は、4月の第一日曜日。
残念なことに。
――ループ初日に戻っていた。
その事実に、俺は愕然とする。
ヒロインが生存していることが、アフターストーリーに進める条件ではなかったのだ。
俺は順調に攻略を進めたと考えていたからこそ、現状に閉塞感を覚えた。
何がダメだった?
やはり、モブキャラの俺ではなく、公人自身がハーレムルートを進む必要があるのか?
そもそもアフターストーリーという存在がないのか……?
もしかして、この世界は詰んでいるのか……?
俺は頭を振って、ネガティブな考えを否定する。
前回の世界でヒロインを死なせずに済む方法があると分かった。
まだ、やれることはあるはずだ。
今回の世界がどのような世界でも、彼女ヒロインたちは絶対に死なせない。
まずは明日、この世界の公人に恋人がいるのかを確かめよう。
今日は、自室で前回のループの行動を、ノートに纏めておこう。
この世界で円滑に攻略を進めるために、きっと役立つだろう。
――そして、翌日。
気合を入れなおし、俺は登校した。
何故ループを脱することが出来なかったか、その解明は出来ていない。
だけど、何をしても無駄だと諦めたくもない。
このループで最後にするために、足掻けるだけ足掻いてやる……。
そう決意した俺は、掲示板のクラス分け表を一瞥して。
――絶句した。
「なんだ、これ……?」
全身が冷たくなる。
先ほどまで耳に届いていた喧騒が、耳に届かなくなった。
そんなはずはない。
そう思いつつ、何度もクラス分け表を見て名前を確認しても、結果は変わらない。
頭がおかしくなりそうだった。
どうして――。
俺の知っている人間が、一人もいないんだ――?
__________________________________
あとがき
ここまで読んでくれてありがとっ(≧◇≦)
【世界一】超巨乳美少女JK郷家愛花24歳【可愛い】です(*´ω`*)
このお話は、タイトルの通り少し先の過去のお話をチラ見せしています(∩´∀`)∩
次話は、元の時間に戻って、何事も無かったかのようにお話が進むので…びっくりしないように気を付けてね(*´σー`)エヘヘ
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