すぐにデレちゃう幼馴染

第73話 裏

「やっとテスト終わったー。後は夏休みを待つだけだよ。」

「終わったからってまだ夏休みじゃないからな？まぁ、楽しみではあるが。」

「いっぱい色んな所に行こうね！」

「あぁ、楽しもうな。」

　今日でテストも終わったし後は学校の方も特にやることもないよね。頭がパンクするくらい詰め込んだ勉強の記憶ともおさらばだー

「プールか海って言ったらどっちを選ぶ？」

「うーん……海かな。葵に浮き輪押してもらってゆらゆらするのも楽しそうかなって。」

「疲れそうだが出来るだけ頑張ってみるよ。」

「期待してるね。でも、そんなこと聞くってことは海行きたいの？」

　だって、プールに行ってももし人がいっぱいいたら満足に遊べないじゃん。海も一緒かもしれないけどそれでもプールより広いから遊べたりするよね。

　ふふん、これで夏休みの計画も一歩進んだね。夏休みにはいっぱい遊んで楽しまなきゃね。

「あぁ、４人で言ったら面白そうだと思ってな。」

「そうだね。行こう行こう！」

「赤点じゃなきゃいいな？」

「むぅ……葵が大丈夫って言ったのにそんなこと言わないでよぉ。不安になるでしょ。」

「ははっ、そうだな。でも、勉強会の時もそうだったが普通にいい点数をとれると思うぞ。」

　どの教科も解答用紙半分くらい埋めれたし間違ってなかったら赤点じゃないもん。間違ってても……ぎりぎり大丈夫だよね？

　それと、海は４人で行くんだね。桔梗君は今骨折中だから夏休みの後半くらいになったら一緒に行けるかな？

「ふんっ、そんな意地悪言う人には帰ったら色々してもらうんだから。」

「色々って何だろうな。意地悪な私に教えてください玲奈さん？」

「色々って、その……い、意地悪！」

「意地悪って、気になるのは本当だぞ？俺に何をさせる気で？」

「その、膝まくらとか頭撫でて貰おうかなって……」

「最近もやった気がするんだが？」

「何回やってもらっても良いでしょ！葵がしてくれると幸せになれるんだもん。」

　これならさすがに葵も黙っちゃうと思ったのにまたやり返されちゃった。いつの間にか私が恥ずかしくなってるし……

　もう本当にやってもらうんだから！葵が嫌って言ってもやめないし途中で私が寝ちゃってもそのままでいて貰うんだからね！

「分かった。後から無しって言ってもやめないからな？」

「そんなこと言わないもん。言う訳ないじゃん。」

「なら早く帰ろう。早くして欲しいんだろ？」

「うんっ。」

　これで好きなだけ私の好きなことを堪能できる。そう思ったらさっきのことは忘れて少しだけ歩くのを早くした。

　膝まくらと、頭撫でて貰うのと……抱きしめてもらうのも良いかな。これ以外にももっとしてもらうんだから。

「玲奈、そろそろ起きろ。」

「んんっ……んむぅ？」

「もう６時半だし、玲奈の家なら後30分もしないうちご飯だろ。」

「ぅん……おはよぉ。」

　葵の部屋に入ったら早速私のしたいことをして貰ったんだけど、膝まくらと頭なでなでが気持ち良すぎて寝ちゃったみたい。

　葵に小さく揺さぶられて起きた起きた私は体を起こして部屋を見てみる。まだ明るいけどオレンジ色になってる。

　葵はずっと膝まくらをしていたからかな？脚の感覚がないみたい。そんなに長く寝てたらそっと脚を抜いても良かったのに……

「ほら、近いけど家まで送るから帰ろうな。」

「……おんぶして欲しぃ。」

「階段降りるとき危ないから駄目。それにもうちょと目閉じていたいだけだろ。」

「分かったよぉ……手つなぐのは？」

「それなら、まぁ大丈夫だ。」

　おんぶは駄目だったけど手を繋ぐのは良いらしいから手を繋いで私の家に帰ることにした。寝起きでちょっとふらふらしている私を葵は私にペースを合わせて進んでくれる。

「あぁ、玲奈ちゃんも帰るのね。」

「うん、おばさんから良い匂いがする。」

「ふふっ、今日はちょっと奮発して少し高いものを使ってるのよ。」

「そうなんだ。食べたいけど、お母さんのご飯の方が大事だからまた今度食べに来ても良い？」

「いつでもいらっしゃい。」

　おばさん、というかリビングの方からな？何やら美味しそうな匂いがするから食べたいと思ったけどお母さんが私の分のご飯も作ってくれてるからまた今度食べに来ることにした。

「お邪魔しました。」

「俺は玲奈を送ってくるから。」

「はいはい、夕飯までには戻ってくるのよ？」

　私は葵と一緒に家を出た。葵は送るなんて言ってるけど実際10秒くらいの距離だから送っても送らなくても変わらなかった。

「じゃあ、また明日な。」

「葵、ちょっと待って。」

「なんだ？」

　ぎゅっ

「また明日のハグ。ぎゅー」

　私は帰ろうとする葵を抱きしめた。葵も腕を回してくれて私を抱きしめてくれて、しばらく２人で抱きしめあった。

「もう満足。ありがとね。」

「満足したのならよかった。」

「また、明日迎えに行くから。」

「あぁ、また明日待ってるよ。」

　そう言って葵は家に戻っていったし、私も家に入った。明日は早起きして葵を起こしてみようかな？私は早くも明日のことを考えていた。