第34話 裏

 ピピピピピ!ピピピピピ!


「んむぅ………ぅるさぃ……」


 私は目覚ましが鳴る音で目を覚ました。だけどまだ眠い。今も煩く鳴っている目覚ましを見るといつもならまだ眠ってる時間だった。


 何でこんな朝早くに目覚ましだろう。


 今鳴らしても眠いから目覚ましを止めてまた寝るしかないよね。私は止めた目覚ましに目もくれずに布団を被る。


「ぁったかぁ……すぅ。」


 そしてまた眠りに落ちていった。






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「んむ?………ふわぁ。」


 なんだか起きてしまった。なんだろう、なにか忘れている気がするんだよな。とりあえず時計見よっと。


 9時27分。


 そっかぁ、まだ朝なんだね。もう少し寝ようかな。次起きるのは12時くらいがいいなぁ。


「おやすみぃ。」


 そして私は意識を落とそうとした………




 寝れない、寝れないよぉ。私の何かが反応して眠れないよぉ。私忘れてることあったっけ?


『じゃあ明日の10時に家の前だからね!』


『分かったよ。明日の10時な。』



 あ、これって昨日の帰りに話したことだ。昨日の明日は今日。じゃあ、今日の朝10時に家の前に集合。なんのために?


 葵と水族館。


「……っは!今何時!?」


 私は急いで時計を見る。さっき見たけどちょっとしか経っていないはず。


 9時34分


「どどどど、どうしよう!?寝坊しちゃった。」


 まずい。このままじゃ時間に間に合わなくなっちゃう。


 私は急いで体を起こし着替える服を探した。探したけど、ない。もしかして寝ちゃう前に準備してなかった?


「うぅ~ばかばか!何で寝る前に準備しなかったのぉ!」


 早く準備しなきゃ!だけど適当じゃなくてちゃんと葵が反応してくれるような服を選ぼう。


 ガサゴソ、ガサゴソ


「……見つからないよぉ。」


 タンスの中を漁ってもどれもしっくり来ない。これじゃ時間の無駄遣いだよ。何か良い服ないかな。


 あ、そうだ。この前葵が買ってくれた服にしようかな。


 パジャマはもちろん違うし、袖で手が隠れそうな服とスカートも違う気がする。そうなると余ったのはワンピース。


 うん、これなら可愛いって言われるかも。


 よしっ、この調子でどんどん準備していこう!





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 ピンポーン


「ちょっと待ってー。」


 インターホンが鳴ったのは、やっと準備が終わってご飯を食べていた時だった。約束の時間よりも少し早いね。


 私は急いでご飯を食べて歯磨きをする。食べ終わったら急いで、だけど丁寧に歯を磨かないと。




 やっと準備できた。よしっ。


「行ってきます!」


「言ってらっしゃい。」 



 ガチャ


「お、お待たせ。」


「いや、むしろ俺が早すぎた。悪かっ…っ!」


 お母さんにお出掛けすることを伝えてドアを開ける。葵が見えた瞬間謝る。葵は私を見た瞬間に固まっちゃった。


「葵?どうしたの?」


「……なんでもない。」


「じゃあ何でこっち見ないの。」


 ひょこ


 もとに戻った後は私の方を見てくれないため、横から除くようにして葵の顔を見た。


「すまん。可愛くて直視できなかったんだ。」


「ふぇ!?そ、そんなぁ……えへ。」


「やっと収まってきたところだ。」


「んふふ~じゃあ早く行こっ。」


 葵の顔は少しだけ赤くなってた。


 そのことを言おうとしたら先に言われちゃった。


 でも、可愛いって言われちゃった。こんな早いと思ってなかったけど実際言われると嬉しいな。この前は言ってくれなかったし……


「今日は何をみたいんだ?」


「んーっとね……」


 なに見ようかなぁ。ペンギンいるかな?






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 ガタッ!コツッ


「……んんっ。」


「………え?」


 むにゅ。なにこれぇ。丁度良い高さにある枕かなぁ。


 1回起きかけたけど電車の揺れと謎の枕による気持ち良さでまた意識を落とした。




 ガタッ!


「……すぅ。」


 コテッ


「ウグッ。」


 んんっ。あれ?私寝てたのかな?


 自分のからだが横向けになっていることが分かった。それと、頭にある感触。これって葵のひざだよね。


 あ、そうだった。


 私電車の揺れでだんだん眠くなってきちゃってそのまま少し目を閉じたら寝ちゃったんだった。


 なでなで、なでなで


「んふぅ……」


 あ、反射的に声が出ちゃった。というか頭撫でられちゃった。今は寝ているふりだけど葵って寝った私にこんなことしてるの?


 それとここ電車の中だよね。私達以外にも乗っている人は少し位はいるよね。その人たちに見られてるのかな。


 そう思うと恥ずかしくなってきた。


 早く駅に着いてよぉ。





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「ふわぁ……良く寝たかなぁ。」


「疲れてたのか?」


「そんな感じだよ。」


 やっと水族館の最寄り駅に着いた。見られてるって思ったら凄く恥ずかしかった。葵にはずっと寝ていたことにしておく。


「……寝不足か?」


 ビクッ


「ぜ、全然違うよ?」


 そういえば昨日、今日のデートが楽しみだったのと葵の部屋で寝ちゃったからベッドに入っても眠れなかったんだよね。


 そのせいで電車で寝ちゃったのかも。


「まぁ良いがあまり夜更かししないようにな。」


「分かってるよぉ。ほらっ早く行こ。」


「そうだな、まだまだ時間もあるし、ゆっくり行くか。」


「うんっ。」


 今回のやつは例外だもん。いつもはこんなこともなく普通に寝てたし……


 そっか、私達が少し早く駅に向かったからまだ開店の時間じゃないんだ。


 水族館にも行きたいけどこういう風にゆったりとした雰囲気で歩くのも良いかも。


 これだけでもう良い1日になってるよぉ。

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