4話 変化。

 ――あれから毎日毎日、俺のところに彼女はやって来る。どうしてそんなに俺のことを……。


「それはね……。君のランクがからだよ」


「――え?てか、俺の心の声聞こえんの?」


「まあね、それが私の特殊能力だからね……」


 初めて彼女と会話をした。彼女の話によるとこの世界には稀に、人間離れした特殊能力を持って生まれてくる人がいるらしい。そして、彼女の特殊能力は人の心の声を聞くものだった。それも、自分でコントロールできるそうだ。


「――なるほど、だからAランクなんだな……」


「そう言う君も、特殊能力者だよね?」


「………………」


 敢えて俺は、何も答えなかった。きっと彼女は俺の特殊能力を知っているはずだから。俺の特殊能力とは……。


  『少し先の未来を見る能力』


 しかしこの特殊能力は、俺には使えない。だから価値数字も0でランクがGなんだ。


「違うならいいんだけど。まあ、もし君が特殊能力者なら私は歓迎するよ。――橘瑞人君」


 俺は彼女、花嶺霞の言葉に何か違和感を感じた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る