魔物がはびこるこの国を、二次大戦兵器とともに生き延びる
舞葉
第1話
「さて…とうとうこの日が来たか…」
薄暗い部屋の中でそうつぶやいたのは一人の背の高い青年。名を舞山晴宗という。
「2027年4月6日…とうとう俺も十五歳か…」
15歳の誕生日。つい数年前まではただの誕生日の一つだったのが急に意味を持ったのには理由がある。
2025年、中央アルプスに巨大な洞窟がぽっかりとその口をあらわした。その洞窟からは、信じられないかもしれないが異世界小説やァニメのような魔物 - ドラゴンだのスライムだのバジリスクだのなんだのがうじゃうじゃと…と、言うわけで、すでに日本には安全な場所は無くなってしまったのだ。
しかし、この国はいくら魔物が蔓延ろうと腐っても大国日本だ。都合のいいことに珍しく有能なリーダーに率いられた国は即刻対策を発表した。
名付けて国民総武装制度。第二次大戦中一億国民総武装だなんだとふざけたスローガンを発していた国が、とうとうその妄言を現実にしてしまった。
この政策を可能にした大きな要因は、洞窟の影響で発生したもう一つの現象。15歳以上の、あるいは15歳の誕生日を迎えた日本人のもとに、どこからともなく銃が現れるようになったのだ。要は物騒極まりないサンタクロースのようなものである。これを受けた政府はこれ幸いとばかりに国民皆兵法を可決させた。いくら戦争嫌いでも銃ぶっ放さなけりゃ明日の朝日は拝めないような状況では、反対するほうが少ない。国民投票の結果、圧倒的賛成多数で可決された。
かくして日本は、国際社会の誰もが思いもしなかったような形で再軍備を始めた。もっとも、「再」軍備というにはいささか数が多すぎるのだが。ちなみに悪魔のサンタクロース君が大盤振る舞いする銃、送られた本人にしか扱えず、弾薬は無限とかいうチート仕様。そのくせ人に当たってもかすり傷一つつかない安全仕様。人に化けた魔物をLMG乱射であぶりだすことなど朝飯前だ。
「さーて、俺のデスクには何があるかな…アサルトライフルかマシンガンか、それとも大穴の対戦車ライフ…ル…へ?こ…これは…?」
そう…普通の場合は一人一丁。二次大戦後の小火器が一般的だ。古くとも冷戦期、ましてや木の銃床なぞ滅多に見ないのだが…
「なんで銃が二挺…それになんか謎の皮袋…っていうかこれどう見ても大戦時の銃だよな?stg44と…なんだこれ、SKSか?」
彼が受け取ったのは紛れもない大戦期の銃、それも二挺。本来あるはずのない銃がそこにあった。
「いや、まだこの2本はわかる。なんだぁ?この皮袋…片っぽはやたらと重いし、もう片っぽは揺するとやたらとうるさいし…さーて中には…ってま〜たわけのわからんもんが…」
やたらとうるさい方の袋に入っていたのは大量の戦車のSDミニチュア。袋を開けた本人が当惑しているのは勿論だが、側から見ると99%ミリオタの趣味にしか見えない。
「どーもこれ、ただのミニチュアじゃないみたいだな…そもそもただの模型ならこんな袋に押し込められたらタダじゃ済まんぞ?よく見ると金属でできてるし…なんなんだこれ…まぁいい、んでもう片っぽのは…今度は船かよ。こりゃまたデフォ◯メ連合艦隊みたいななりしてるな…」
お察しの通りもう一つの袋は艦隊の模型。やはりこっちも99%(ry
「ま、クヨクヨしても仕方ない。とりあえず飯食うか…」
彼は思考をそこで断ち切り、リビングに降りて食卓についた
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