体が弱く寝たきりの人生を過ごしていた主人公は女神に頼まれ、乙女ゲームの悪役令嬢イザベラに転生することに。ちゃんと女神の言うとおり悪役令嬢っぽく振る舞おうとするのだが、本来ゲームでは死ぬはずだった母親にとっさに回復魔法をかけたことでイザベラの運命は大きく変わってしまい……。
ゲームのシナリオから逃れようとするのが悪役令嬢ものの定番だが、本作のイザベラは転生するチャンスをくれた女神に義理立てし、しっかり破滅フラグを立てようとする。なのに前世で身につけたゲーム知識が裏目に出てしまい、なんだか別のフラグばかりが次々と立つ。
さらに本来のメインヒロインの方もなぜかおかしな行動ばかりを取っており、物語はゲームとは全然違う展開に……。そんな状況に頭を悩ませたりはするけど、特に落ち込んだりはしないイザベラの明るい性格がそのまま本作の魅力になっている。
毎回悪役令嬢っぽく振る舞おうとしているのに、結果としていつもいい感じに収まってしまうコメディ要素が強めな楽しい作品だ。
(「いろんな悪役令嬢」4選/文=柿崎 憲)