第16話

「おーい、大丈夫か?」


「何がだ?」


「学校に来てからもずっと上の空だからさ。何かあったのか?」


「いや、新しい短剣を買おうと思ってさ。もっと金を稼ぎたいなと思って考えてたところだよ。」


「そうか、金を稼ぐのか…って、いつの間にか探索者の考え方になってるぞ?本業にするのか?」


「確かに!」


そうだ!いつの間にか探索者の考え方になってた。別にゆっくりでいいんだ。いや、強くなって本業にしてもいいかもしれない…いやいや駄目だな。失敗しそうだ。


「ありがとう。完全に忘れてた。」


「別にいいけど。授業は聞いた方がいいぞ。凄い目でこっち見てるから。」


「え」


野良犬のような……理性的な先生がこちらを見ている。目ではこう言っている。「そろそろ静…


「そろそろ静かにしとけよ。」


「は、はい。すいません!」


「あと、一瞬俺を馬鹿にしたか?」


「い、いえ!!」


聞こえてる!!?


「そうか、ならいい。」


おとなしく授業を聞いとこう。


「お前、怒られてやんの。」


「お前もだぞ、中田。」


「は、はい。すいません!!」


「よし、授業に戻るぞ。」


人を馬鹿にしようとした天罰だ。

…授業はちゃんと聞こう。

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