第25話 あなたを信じて 〜VS スカルドラゴン〜
「スカルドラゴン……アンデッドなら聖女の私が! 【
マエリスが掲げた指先から光がほとばしる。
《ターン・アンデッド》は、アンデッドを戦闘の場から逃走させるスキルだ。
しかし、一瞬動きを止めただけで、スカルドラゴンはビクともしなかった。
「はぁい、いくら聖女の《ターン・アンデッド》でも、脅威度A級のスカルドラゴンには効きんせんよ」
魔王がニヤついていった。
再び余裕の表情で、僕たちを嘲笑うかのように。
「じゃあ、せっかくなので、おかわりをあげんしょう」
魔王が再び、【不死者生成】を使った。
今度は無数のグールやスケルトンが周囲に現れる。
数百はいるだろうか。
操られたアンデッドたち。
彼らは僕ら、つまり獲物を前に——骨の鳴る音や、うなり声——歓喜の声を上げた。
だけど、僕は怯まない。
なぜなら——。
『 《ターン・アンデッド》の解析開始——。成功したよ!』
チコと視線を交わす。
でも、マエリスが不安そうに僕を見つめた。
「リィト、どうしよう?」
「大丈夫。もう一度【ターン・アンデッド】をやってみようよ」
「ううん、ダメ。私の力が足りないの」
俯きそうになるマエリスの視線を僕は拾う。
そして、何も言わずにマエリスの目を見て、頷いた。
僕を信じて。
口には出さない。
その方が、伝わると思ったからだ。
「リィト……うん、もう一度、やってみる」
顔を上げ、アンデッドのボス……スカルドラゴンを見上げるマエリス。
その横顔は、凜々しくて美しい。
彼女の芯のある声が、ダンジョンの部屋に響く。
「じゃあ、もう一度!」
『
「YES!!」
マエリスが、大きく息を吸い込み、大きな声で叫ぶ。
「【ターン・アンデッド】!」
『
その刹那。
マエリスが掲げた指の先から、光が筋となってほとばしった。
カッ。
閃光と一瞬の静寂……そして——。
バアァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!
聖女魔法にあるまじき、破壊の轟音が鳴り響く。
無数のアンデッドが、光に触れた瞬間に砕け散っていく。
砕け散るスピードがあまりに苛烈であるため、激しい爆発音となってダンジョン内に鳴り響いた。
それは、スカルドラゴンも例外ではない。
無数の骨が、飛び散り、砕け散っていく。
砕け散ったアンデッドの破片は、光の粒となって天に向かっていく。
一瞬にして、戦況がひっくり返った——。
「す、すごい」
自分で行ったことなのに、マエリスが言葉を失う。
「おい……あれは何でありんすか。そう……《グリッチ=コード》と聖女の力でありんすね——」
魔王の様子がおかしい。
どういうわけか、魔王自身もダメージを受けているように見える。
いよいよ、余裕がなくなってきたようだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます