Hero Incident -ヒーローインシデント-

病葉

読んでも、読まなくてもいいプロローグ

まぶたを撫でるその風は、冷たくなにより絶望した心に。

深く染みこんでゆくこの感覚が全身を支配した。はゆっくりと目を開け目の前の景色を一望した。


ここは学校せかい屋上てっぺん、今この瞬間全てを一望しているのは私だけ。夕暮れ特有の色、燃えるようなオレンジ色を放つは、今にも死にかけの太陽か…

そして柵を乗り越え屋上ギリギリだけの大地に立つのである。下の方に視線を移してみる、あれは陸上部だろうか?部員が声を発しながら懸命に部活動をしている。


「頑張ってるなぁ…、私も頑張ったんだけどな…」


そう心からの声を呟き、ひきつった笑みを浮かべそれと同時に頭の中で人生を振り返り始めた。



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あなたならになんと声をかけますか?


ここで本小説の筆者である私の話を聞いてもらいたい。日本では30代以下では毎年約3000人が自殺しています。さらに40代までの死亡原因1位は自殺である。これは先進7か国の中で自殺が事故死を上回っての死亡率1位になっているのは日本のみである。(厚生労働省 令和元年度自殺対策白書から引用)

経済大国として発展し国民の生活水準は非常に高く、犯罪率も低くモラルが高いと海外から評価される日本、対外的戦争や内戦が起きているわけでもないこの日本で何故このような事が起きているのでしょうか?自殺をする原因は様々でしょうが、一体誰が、何が彼ら彼女らを殺すのでしょうか?そもそも本当に自殺なのでしょうか?


娯楽であり子供達に人気の漫画、アニメ、小説などには明確なヒーローが登場しそして同じく明確な悪も登場します。それらは悪魔、人外のモンスターであったり鬼であったりと様々ですが分かりやすい明確な悪が登場します。しかし現実世界での善悪はハッキリしません。集団生活や経済活動が人の死につながる事もありますし、大多数の人が資本や価値ある物を奪い合い争います。皆、幸せになりたいから戦争が起きています。


そしてもし私が真の悪なら、悪として認知されない悪を心がけます。何故なら悪なのだから。


ほら、あなたが私の話を読んでしまっている間には覚悟きめたようですよ。


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屋上には強く冷たい風が吹き荒れる。それはまるで無辜むこな少女の命などそこには初めから無かったかのように閑散としていた。

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