第20話

 ゼロから武器の扱いを習得することになったサトルたち。

 いまの心境を表現するなら『強くてニューゲーム』に近いだろうか。


 変態ライダー:

『あっはっは!』

『やべぇ! ハンマー楽しい!』

『ドラゴンを粉砕しまくりだわ!』


 SATO:

『ちょっと、ライダーさん……』

『残りHPがレッドゾーンに沈んでいますよ』


 変態ライダー:

『いけねぇww』

『楽しすぎて回復するの忘れるww』


 サトルは全体回復アイテムをつかった。


 こりゃ、バーサーカー状態だな。

 味方がフォローしないと、力尽きるまで戦うだろう。


 変態ライダー:

『あんだけ苦戦したタイタン・ドラゴン……』

『たった10分で倒せたぜ!』

『強すぎだろう!』


 SATO:

『さすがの高火力ですね』

『ゴリ押しがここまで有効とは思いませんでした』


 変態ライダー:

『((*´∀`))ケラケラ』

『変態の鉄槌を下してやったぜ!』

『とりあえず頭を殴っときゃ勝てるな!』


 一方のサトルは苦戦していた。


 戦斧のコンボ技、つなげるのが難しい。

 スティックを倒す角度や、ボタンを押すタイミングを間違えると、想定とは違ったアクションが飛び出してしまう。


 それだけ技のレパートリーが豊富ということだが……。


 仕方ない。

 こればかりは時間をかけて身につけよう。


 変態ライダー:

『なあなあ、あいつを倒しにいこうぜ』

『イフリート・ドラゴン』


 SATO:

『いいですよ』

『肩慣らしするには、ちょっと強い敵かもしれませんが』


 イフリート・ドラゴンはこのゲームで二番目に苦戦させられた難敵だ。

 成長を確かめるという意味でも、1回くらいは倒しておきたい。


 SATO:

『俺はアイテムを補充してくるので……』

『ちょっと待っていてください』


 変態ライダー:

『はいよ』

『(。・ω・)ノ』


 サトルは妨害系アイテムをポーチに詰め込んだ。


 落とし穴に、シビレ罠に、閃光玉……。

 うまく利用すれば10秒〜15秒くらいモンスターの行動を抑えられる。


 妨害系アイテム ⇨ ハンマーで気絶スタン


 このコンボが決まれば、相手のHPをごっそり奪える。

 片手剣の時代にはなかった必勝パターンを確立できそうだ。


 SATO:

『お待たせしました』

『それでは出発しましょう』


 変態ライダー:

『どうした?』

『もしかして落とし穴を補充したの?』


 SATO:

『お、よく分かりましたね』

『ご明察です』


 変態ライダー:

『やっぱりか』

『罠にハメて、ハンマーでタコ殴りにする作戦だろう』

『俺もさっき思いついた』


 SATO:

『その時は合図しますから……』

『好きなだけコンボを叩き込んでください』


 変態ライダー:

『あいよ』

『攻撃力に全振りした男に任せとけ!』


 さっそくイフリート・ドラゴンと遭遇した。

 前回の戦いで反省したのか、ライダーさんはヒット&アウェイを心がけている。


 隙を見てサトルは落とし穴を設置した。

 ライダーさんに合図を送ってから、イフリート・ドラゴンを誘導する。


 かかった!

 ここからは検証タイム。

 うまく気絶につなげるだろうか。


 SATO:

『頼みましたよ』


 変態ライダー:

『うぉりゃあぁぁぁ!』

『病院送りにしてやらぁぁぁ!』

『そのイケメン顔を整形手術じゃぁぁぁ!』


 ふいにイフリート・ドラゴンの動きが止まった。

 頭上にお星様が飛んでいる、つまり気絶している。


 パーフェクト。

 動けなくなった相手にありったけのコンボを叩き込む。


 よしよし。

 人類の叡智えいちを見せつけてやった気分だ。


 けっきょく、20分で討伐できた。

 興奮のあまりガッツポーズを決める。


 変態ライダー:

『いい感じだったな』

『これならアダマント・ドラゴンに勝てる?』

『(´・_・`)カナー』


 SATO:

『たぶん勝てます』

『勝率90%でしょう』


 変態ライダー:

『お、出たな』

『SATOがいう勝率90%は……』

『実質、勝率100%だからな』


 SATO:

『そうでしたっけ?』


 変態ライダー:

『おうよ』

『負けたことがない』

『勝ち確定演出みたいな』

『バキッ!!(  ̄ー ̄)=○() ̄O ̄)アウッ!』


 SATO:

『あはは……』

『だといいのですが』


 今日はもう遅い。

 明日に備えてエネルギーを蓄えよう。

 19時から今日の続きをしよう、という話になった。


 変態ライダー:

『おやすみ〜』

『イイ夢ミロヨ(`・ω・´)キリッ』


 SATO:

『はい、おやすみなさい』

『(`・ω・´)ゞ』


 たっぷりの充実感とともに眠りについたサトルは、この夜、エリナと2人で買い物にいく夢を見た。

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