第25話「ハーレム王」sideブライアン

 僕は、子供の頃からずっと女達に囲まれていた。


「ブライアン様のお嫁さんになりたいです……」

「ズルいっ! 私だってっっ」

「分かった分かった。僕を巡って争わないでくれ……僕はみんなのブライアンだよ」


 ひっきりなしにやって来ては、僕を巡って争う女達を慰めるのに苦労したもんだ。


 僕の家は大きな商会。生活に困るどころか、贅沢な暮らしをさせて貰っていた。


 将来は、跡を引き継ぎ会長になる未来は決まっていたんだ。僕もそのつもりだったしね。


 そんな僕に、両親はこう言った。


「折角【治療士】という素晴らしいジョブを授かったんだ。商会はいつでも継げる。それまではお前の好きな人生を歩んで良いんだぞ」

「ブライアンちゃんが好きな事をしなさい」


 両親にそう言われ、僕は悩んだよ。

 一体何をすれば良いだ? って、ね。


 そして思い付いた。

 僕だけの、理想のハーレムを作ってやろうと。


 小賢しい女はダメだ。

 策略を使って他の女を蹴落とすかもしれない。


 そうだな……頭の弱い馬鹿な女が理想だ。なにも疑わず、盲目的に僕を崇拝するような馬鹿な女が。


 そう考えた僕が辿り着いた場所こそ――冒険者だった。


 冒険者なんて危険な仕事をするような女は、おつも弱いと考えたのさ。


 冒険者を引退した後は、大商会の会長になった僕に養って貰えると単純に考える筈だ。僕もそういう餌を撒くつもりだし。


 そう思って冒険者になってみたら、予想以上に馬鹿が釣れる釣れる。


 僕の【治療士】という人気のジョブも相まって、クランやパーティーには簡単に入り放題。


 そこで目を付けた女達を、どんどん落としていった。


 なに、少し甘い言葉をかけて、適当にチヤホヤしておけば、直ぐに股を開く馬鹿女ばっかりだ。


 当然、彼氏が居たりする女も居たが、俺が大商会の跡取りだと知ると、簡単に別れてくれた。


 本当に女は馬鹿だ。誰が面倒など見るか。


 欲しいのは若い時だけで、皺が出来た婆さんなど相手にもしたくない。俺の理想のハーレムに、年増は必要ないんだよっっ。


 要らなくなった女をどうするかって?

 それは簡単な話だ……殺してしまえば良い。


「本当は君が一番なんだけど、あの女が邪魔で君を一番に出来ないんだよ……」


 嫉妬心と自尊心が強そうな女を引っかけて、僕に依存させた後にそう呟く。


 そうすると、あら不思議。

 邪魔だった女が消えているんだ。


 わざわざ僕の手を汚さなくても、消してくれる駒の出来上がり。それでね、その駒も必要なくなるだろ?


 殺人鬼と一緒なんて御免だからね。

 ちゃんと証拠を引き出して、ギルドや国に報告!


 この世界で女が殺人で捕まったらどうなると思う?

 正解は……奴隷でしたー!


 それも強烈な性奴隷!


 例えば戦場での慰め物だったり、貴族同士が贈り合うプレゼントなんかに使われるんだ。


 ああ、可哀想な女達……。


 捕まった時に、僕の顔を切なそうに見る女達。

 最後の時まで、僕に利用されたなんて考えもしない。


 正直――













 ざまぁっっ!!



 気分は爽快だよ!

 いつもあの切なそうな顔を見るとゾクゾクする。


 女なんて道具に過ぎない。

 僕を気持ち良くさせる為のね。


 そう言えば、僕に彼女を寝取られた男達の絶望と怒りに満ちた顔も最高だよ!


 最近で言うと、【黄金の槍】っていうクランに潜り込んだ時に寝取った【魔法使い】の女ラヴィの彼氏なんて、僕達の逢瀬を目撃してしまっただけではなく、その場で振られていたから笑いが止まらなかったっけ。


 馬鹿だよな、まったく。女なんて性の捌け口でしかないのに、愛を求めるなんて。そんなもんにすがる男達の気がしれないよ。


 その【魔法使い】の女は、新しい駒として育てる事に決めた。


 駒の育て方は凄く簡単。

 最初は彼氏だと思わせ、幸福度を高めてから落とす。


「お前と付き合った覚えはないけど? 俺にはちゃんと女が居るから」


 そう言って突き放す。

 自尊心が高く、嫉妬深い女ほど簡単に落ちるのさ。


 ラヴィって女も、それなりの素質を持っていた。

 田舎育ちほど、その傾向があるかもね。


 そして精神がズタボロになりそうな頃合いで、手を差し伸べてやる。


「あの時はごめん……実は、今付き合ってる女と別れたくても別れられないんだよ……でも、君が一番好きなのは事実だ。だからさ、僕と一緒に居てくれないかな?」


 そう言ってやれば、確実に落とせた。


 そして、その嫉妬心を育て、自尊心が悲鳴を上げ始めたら駒の出来上がりって訳。


 後は消したい女に敵意を向かわせて殺させるのさ。

 ちょうど今、面倒な女が三人ほど居てね。


 コイツら纏めて殺させようかと思ってる。

 魔法使いなら、スキルで楽勝でしょ?


 もうすぐ僕の理想が叶う。


 ハーレムクランを立ち上げて、今まで唾をつけてきた女達を加入させた。後は邪魔な年増を消すだけだ。


 このラヴィって女も、役目が終わったら奴隷になって貰おう。精々、キモい男達の慰め物になってくれ。


 あれ、もしかして僕って凄く良いことしてる?


 だってさ、僕みたいなイケメンで金持ちで天才は、女に困る事なんてないけど、他の男は違うでしょ。


 普通の男は、頑張って口説いたり、贈り物をしてやっと股を開かせる事が出来るよね?


 でも、キモい男はそれも出来ない。唯一出来るのは、娼婦を買うか、奴隷を買って捌け口にする事ぐらいだ。


 そんな男達に、年増とは言え、奴らが手に出来ないような女を贈って上げている僕。


 ああ、僕はなんて優しいんだろうか。

 よーし、頑張るぞ! 理想まで後一歩だ!


 ハーレムが出来上がったら、要らなくなった女を贈る構造も作って上げないとね! お金にもなるし!


 やっぱり僕って天才♪

 将来は、ハーレムの王として君臨してやるんだ♪

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