1st.

02 真夏の登校

「今日は来たんだな。学校」


 彼が、隣に座る。彼は日数も足りてて、授業も取り終わってるから、もう卒業まで学校に来なくていいはずなのに。彼はここにいる。


「こんなに暑いのに」


 彼はここにいる。


「うん。暑い」


 でも、なぜか来てしまった。なぜ学校に来たのかは、わたしも分からない。


「授業は?」


「わかんない。数学だったら受けようかな」


「国語だな」


「じゃあ、保健室で寝ます」


「そうか」


「あなたも寝ます?」


「俺は受けるよ。国語」


 席を立った。出席して、彼とちょっとだけ話して。それで今日は終わり。わたしの学生生活。もうずっと、こんな感じ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る