第1490話 夢の中でまた逢いましょう
世界中で愛された音楽家だった。名曲を生み出し、多くの人を魅了し、時に勇気を与え、時に元気を与え、時に寄り添ってくれた。そんな偉大な音楽家である彼も、歳には勝てなかった。百二歳でこの世を去った。大往生だった。彼は生涯、最後まで音楽を作り続けた。そんな彼の死に際に放った言葉は、世界中の人々を感動させた。
「私は多くの人達の心に寄り添ってきたつもりです。私はもう逝きます。ですがそれは肉体がなくなるだけで、私の心は、あなたの中にあります。私が生涯、音楽を作り続けたのは、あなたの中にずっといたいから。夢の中でまた逢いましょう」
そう言って彼は逝った。見事な生き様だった。最後まで彼らしい生き様だった。
「彼はあなたの夢の中で何をしていましたか?」
「笑顔で音楽を奏でていました。とても素敵な夢でした」
人々は彼の葬式があった夜、皆が同じ夢を見た。そんな彼の最後に発表した曲のタイトルが「夢の中で……」だ。
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