第1454話 時間マーケット

<時間売ります。今ならお買い得です>

そんな広告がポストに入っていた。これは何だろうと思いながらよく見てみると、時間を売ってくれる販売店の広告らしい。時間を売るとはどういうことだろうか?

確かに忙しい現代、私は一日が二十四時間ではなく、四十二時間あればいいのにと思う事がある。だからこそ、このような怪しげな広告にでも興味を持ってしまった。そして私は気が付けば、広告に書かれた電話番号に電話していた。

「時間を買いたいんですが」

「何時間くらい必要でしょうか?」

「一時間いくらになりますか?」

「初回ですので、一万円で結構です」

一時間一万円。これは、絶妙なラインをついてきていると思った。時給換算すれば高いし、でも一時間の時間を得られるなら安いとも思える。私は買うことにした。

「ありがとうございます」

すると私だけ一時間、時間が止まった。だがその間、特に何をすることもなくぼーっとして過ごした。

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