第1376話 節分に咲く一輪の花
近所の幼稚園では、子供達が鬼は外と叫びながら鬼に扮した先生に豆を投げている。ワイワイと騒がしい声が聞こえてくる。そんな声を聴き、今日は節分なのかと感じる。そういえば撒いた豆は、どこへいくのだろうか。豆もまさか自分達が投げられるために生まれてきたのだとは、思いもしないだろう。そんなことを考えると、なんだか豆達が不憫に思えてきた。
「じゃあ勿体ないし、一粒だけ……。鬼は外」
そう言って、一粒の豆を外に撒いた。これで一応、鬼も外に行くだろう。そういうことにしておこう。残りは全部、福は内として、自分の口の中に放り込んで食べるとしよう。
翌日、外に出ると庭のアスファルトに一輪の小さな花が咲いていた。
「あれ?」
節分に咲く一輪の花は、節分豆から成長したものだった。
「そっか。土に還って植物を育てたり、鳥の餌になったり、他の命を助けてるんだね」
そう思うと、鬼は外と豆を投げるのも悪くない気がした。
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