第1370話 孔雀がいる町

ここ長浜町は、孔雀伝説がある町だ。かつて大昔、綺麗な孔雀の大群がやってきて、何もないこの長浜町が観光地になって救われたのだという。それからというものの、孔雀への恩を忘れないようにと孔雀土産が盛んになった。孔雀饅頭や孔雀扇子、孔雀キーホルダー様々な土産が定番商品として売られている。孔雀をPRしようと思い、長浜町は去年、孔雀園という孔雀を見る事ができる施設を建てた。客足は上々だ。こうして孔雀伝説は現代に再現された。

ある朝の事だった。飼育員がいつものように孔雀の数を数えていると異変に気付いた。

「あれ?おかしいな。何度数えても一匹多いぞ」

いつの間にか増えている孔雀を不思議に思い、その不可思議な現象を報告する。その日の夜、一匹の孔雀が発光し始めた。夜を照らす孔雀は、実に美しかった。一匹増えた孔雀は、夜に発光する不思議な個体だった。なぜ増えたのかは分からないが、これはきっと神の使いなのだろう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る