第1357話 あなたは雪が好きだから

君を殺したのは僕だ。皆、僕のせいじゃないと言うが、それは違う。君を殺したのは僕なんだ。一番近くでいたのに、君が苦しんでいる事に全く気付いてあげられなかった。それが僕の罪だ。君は自ら死を選んだ。僕は突然の事で受け入れるまでに随分と長い時間がかかってしまった。だが君が死んで一ヶ月。ようやく僕は、君の死を実感している。

雪が降ってきた。季節は夏だというのに、異常気象もここまで来たか。雪は嫌いだ。君と一緒に雪だるまを作った思い出を思い出してしまうから。

「大丈夫だよ。あなたのせいじゃないから。悪いのは全部私」

声が聞こえてきた。君の声だ。

「でも僕が気づいてあげられていたら」

「いいんだよ。誰にも相談しなかった私が悪いんだ」

「君は悪くない。君は辛かったんだから」

「この雪はね。私が天国から降らせたの。罪滅ぼしの雪。あなたは雪が好きだから。一緒に遊んだ楽しい思い出、思い出してくれたら嬉しいな」

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