第1348話 メリーゴーラウンドお姫様

うちの姫こと娘は、メリーゴーラウンドが大好きだ。俺と一緒に乗る時は普通に乗ってくれるのだが……一人で乗ると必ず馬に抱きつくように乗って来るのだ。それを見た周りの客や従業員達が「微笑ましい」だとか「可愛らしい」だとか言いながら写真を撮っている。だがしかし! 俺は騙されないぞ!! あれは『抱きつきたいから』ではなくて『落ちたら痛いだろうなぁ〜』という恐怖心からくるものだ。

つまり、ジェットコースターとかお化け屋敷でキャーキャー言う女の子と一緒なのだよ。

そんなことを思っていた矢先、目の前を凄まじい勢いで馬が駆け抜けていった。

その馬の背中には……

「きゃあああああ!」

満面の笑みを浮かべた我が娘の姿が……

「うわあああ!」

俺も絶叫しながら慌ててその後を追いかける。なぜこんなところに馬が!?

そう思った時に馬が止まった。そして怖がる娘を下した。

「楽しかった」

「嘘ぉ?」

全く強がりな子だ。

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