第1288話 長靴を履いたカラス

最近、不思議なカラスが近所のゴミ捨て場にやってくるという噂を聞いて、私はそれを見てみたいと思っていた。どうもそのカラスは、長靴を履いているらしい。

ある日の事。朝のゴミ出しに行くと、長靴を履いたカラスがいた。あれが噂の不思議なカラスか。黒い長靴を履いた真っ黒なそのカラスは、なんだか歪な形に見えた。なぜカラスが長靴なんか履いているんだろう。少し近寄ると、不思議なカラスは口を開けた。

「おはようございます。最近寒くなってきましたね。私も寒さ対策に、お気に入りの長靴を出してきましたよ」

しゃ、喋った!?

しかもお前は、近所の人か!?ってくらい普通に話しかけてくるのな。

「えっ……」

「ああ、驚かせてすみません。私、元は人間だったんですが、悪い魔女にカラスの姿に変えられてしまいました」

「元は人間……?戻れないの?」

「夜だけは人間の姿に戻れるのです」

その人は、隣に住んでいるイケメンだった。

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