第1203話 気休めゴースト

この辺りには、幽霊が出るという。肝試しのつもりで大学の友人三人と一緒に、俺は足を踏み入れた。薄暗く、本当に何かが出そうだ。しばらく進んでいるとトンネルが出てきた。トンネルの中に入ろうという話になり、トンネルの中に入ると中は、ひんやりして気持ち悪かった。その時だった。俺は足元を誰かに掴まれた。うわっ!!と声をあげて、足元を見ると掴んでいたのは、友人の一人だった。

「脅かすんじゃねえよ」

そう言ってみると、友人は答えた。

「だってさ、何も出なかったら、わざわざ誘った俺としては申し訳ないだろ」

いや、出ない方がいいんだが…。

そう思いながらも友人は、あの手この手で俺を驚かそうとしてくる。

「お前は気休めゴーストか。せめてこの場だけでもというやつか」

そうツッコミを入れると、他の二人が青白い顔をしている。

「ど、どうした?」

「いや、青白い顔した方が気休めになるかなと思って」

結局何もいなかった。

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