第973話 瞬間乾燥

雑貨店に並んでいたのは、福袋だった。何が入っているかは開けてみてのお楽しみ。確実にお得ですというフレーズだった。そんなフレーズに惹かれ、私は一つ五千円の福袋を買うのだった。早速家に帰ってドキドキしながら福袋を開けてみた。あえて袋の中を覗きこまず、中を見ないようにして取り出して楽しむのが私流だ。

「お、なんか硬いな。何だろう?」

出てきたのは、ドライヤーが入った箱だった。

「へえ。ドライヤーか。なかなか良い物入ってるじゃん」

説明書を見る。瞬間乾燥。と一言だけ書いてあるだけだった。

「なんじゃこりゃ。雑だな」

しかし入っていたのは、このドライヤ一だけだった。

「えっ?これだけ?ドライヤーが5000円?まあ……得したんだろうけどなんか微妙」

しかし驚いたのは、ここからだった。入っていたドライヤーを使うと、一秒で髪が渇いた。瞬間乾燥だった。

「凄い!!これはお得だ!!」

私は福袋で得をした。

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