第949話 午前零時に飛んだ鍵

「気付いたか?この扉、前にここに来た時にはなかった」

「ああ、こんなものはなかった」


警備員として働く私は、同僚と廃墟の見回りをしていた時、不思議な扉を見つけた。


「……入ってみるか?」

「よせ。何があるか分からないぞ」

「だから入るんだよ」


私は意を決して扉を開こうとした。しかし扉には鍵がかかっていて開かなかった。


「開かないぞ」

「開かずの扉ってことか」

「どこかに鍵は落ちてないか?」


鍵を探したが、どこにも見当たらない。


「あきらめよう」


その時だった。午前零時になった。その瞬間、ゴーンッと時計の鐘の音が鳴り、同時に何かが光り輝いた。その光輝いた場所に行くと、鍵が落ちていた。その鍵を扉の鍵穴に入れると、カチッと音がした。


「開いた。……入るぞ」


中に入った。そこに広がっていたのは、花が沢山咲き誇る豊かな庭園だった。ここは秘密の庭園。午前零時にだけは入れるのだ。

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