第938話 レインコート症候群

「気が付きましたか?落ち着いて聞いてください。あなたは三年間眠っていました」


白衣を着た男性に見降ろされながら、私に向かって語りてきた。どうやら私は、何らかの原因で三年間も眠り続けていたらしい。


「ここは……」

「病院です。あなたはレインコート症候群に陥っていまいした」

「レインコート……症候群?」

「梅雨の時期、傘ではなく、レインコートを愛用しすぎた人が陥る特殊な病です」

「そんな病があるんですか?」

「最近新しく発見された奇病です。原因も治療法も分かっていません。今や患者数は、世界に数万人規模でいます」

「私は助かるんですか?」

「分かりません。あなたはレインコート症候群にかかり、初めて目覚めた人ですから前例がありません。今から詳しい検査をしましょう」


私の検査結果は、全ての数値が正常なものだった。

しかしそんな話は嘘だった。本当は私の体を実験台にして遊んでいたのだった。

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