第925話 咲き誇れ、花達よ
女性はまるで花のようだ。とても美しく咲き誇る。私は若い女性達が青春を捧げ、一生懸命舞台に打ち込む姿が大好きだ。私は演劇の役者達に演技指導をしている。例えるならば舞台は季節を表す。女優達は、季節を盛り上げる花だ。そんな花達を一生懸命育てる私は、庭師のようなものだろう。うん、我ながら良い表現だ。表現者たる者、それくらいの言い回しがすぐに出てこなければ失格だ。
一輪の花が泣いていた。私は彼女にそっと寄り添った。
「どうしたの?」
「台詞が覚えられなくて皆に迷惑かけて……先生、すみません……」
「あきらめちゃだめ。反復練習よ。何度間違えても良いの。今は練習なんだから。お風呂やトイレに入ってる時も台本を持ち歩きなさい。そうすれば必ず覚えられるわ」
「はい……」
そんな彼女は、今や大女優。嗚呼、人を育てるのってどうしてこんなにも面白いのかしら。今日も新人が入る。燃えてきたわ。さあ咲き誇れ、花達よ。
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