第924話 赤い焼き芋

真っ赤な真っ赤な深紅の色をした美味しい美味しい焼き芋はいかがですか?


「奥さん。どうです?美味しいですよ」


そう言われ、私は赤い焼き芋を買う事にした。


「あら、凄く赤いわね。不思議ね。どうしてこんなに赤くなってるのかしら」

「その秘密は、肥料にあるんですよ。なんいっても”特別な”肥料を使ってますからね」

「そうなのね。ひとつ頂こうかしら」

「まいどあり」


その赤い焼き芋は、とても甘くて美味しくて。私はすっかりファンになった。同じ店に行って、また赤い焼き芋が売ってないか聞いた。


「赤い焼き芋は今日はないの?」

「すみません。”特別な”肥料が不足でして」

「そうなの。あれだけ美味しいものね。肥料が良いのね」

「ええ。そうなんですよ。なんせあれは……」

「何の肥料なの?」

「健康な人の血液を使っているんですよ」


赤くて赤くて深紅色。甘くて美味しいよ。

美味しい焼き芋はいかがですか?

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