第918話 ショートナイン

ショート。それは二塁と三塁付近で、三遊間から二塁間はもちろん、センター等幅広い守備範囲を守る野球のポジションである。ここに前代未聞の野球部があった。


「お前ら、全員ポジションはショートだ」

「えー!?」


監督である鬼山監督が決めたのは、全員のポジションをショートにすること。監督は全員にショートの守備練習をさせた。来る日も来る日も「お前、ショートで守れ」と、全員を入れ替えながらショートの練習ばかりさせた。

他のポジションの練習は一切させなかった。


そして試合が始まった。ウグイス嬢が読み上げる。

一番 ショート 石田君

二番 ショート 田岡君

三番 ショート 高橋君

・・・


一体どうやって守るんだ?

皆が注目した。だが実は、秘密は投手にあった。投手の投げる球は特殊で、必ずショートに打たされる魔球だったのだ。だから全員がショートに回れば、球は確実にアウトになるという事だった。

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