第919話 開かずのロッカー

行きつけの昔懐かしい銭湯には、木目調の脱衣ロッカーが置いてある。そのロッカーの中に、ひとつだけ真っ白いロッカーがある。それが通称、開かずのロッカーだ。店のオーナーが言うには、昔鍵を持ったまま、帰ってしまった人がいるということだ。しかし新しく鍵を作るのも費用がかかるので、面倒でそのままにしているそうだ。


「中には何が入ってるんだろうな」

「服じゃないか?」

「でも取りに来ないってことは、大したものは入ってないだろう」


客達は何が入っているのか気になったが、まあ多分つまらないものしか入っていないだろうと思っていた。

そしてある日、一人の若い男がやってきた。男は服を脱がず、開かずのロッカーをじっと見つめている。

そして決意したように、男は自分のズボンのポケットに手を入れ、鍵を取り出した。それは開かずのロッカーの鍵だった。ついに開かずのロッカーが開けた。


中からは大量の札束が出てきた。

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