第905話 プリントTシャツ

私にはとっておきのアイテムがある。それがこのプリントTシャツだ。なんとこのTシャツは、世界に一枚しかない。私が作ったオリジナルTシャツなのだ。

これで私は世界一オシャレな女。

「そのプリントTシャツ良いね。どこで買ったの?」

友達の理香子に聞かれた。私は得意げになって答える。

「自分でデザインした世界に一枚しかないやつだよ」

「えー!?自分で作ったの!?凄い!!私にも作ってよ」

私は理香子にもプリントTシャツを作ってあげた。すると理香子は、余程気に入ったのか私に「これは売れば儲かるよ」と販売を進めてきた。

気をよくした私は、Tシャツを販売するようになった。プリントTシャツは、どんどん売れていった。

そして世界に一枚しかないはずのプリントTシャツは、世間に溢れかえった。世界に一枚しかない私のプリントTシャツは、ありきたりな服になってしまった。

しかしもう二度と良いデザインを思いつかなかった。

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