第834話 雪国

少女は逃げた。殺人現場から。

出てきたら殺してやる。そう思い、隠してあった銃を持って構えた。

犯人が出てきた。そして少女は犯人に向かって発砲した。


犯人はその場に倒れて、辺りは血の海になった。少女はやったのだ。家族を殺した犯人に復讐する事ができた。


だがこの気持ちは何だろうか。

憎い犯人を殺したのに、気持ちが晴れる事もない。それは当然だ。犯人を殺したからといって死んだ家族が戻ってくるわけではないのだから。


彼女は旅に出た。誰もいない遠い遠い土地を目指し、旅に出た。ようやく辿り着いたそこは雪国。自給自足の生活をし、助け合って暮らしている民族の住む村だ。彼女は歓迎された。温かい食べ物を分け与えられ、宴に参加した。それから彼女は、雪国で暮らす事に決めた。

そこは寒いが、温かい人達で溢れている。彼女の空いてしまった心の隙間を埋めてくれる。そんな人達との出会いだったのだ。

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