第823話 暗い海の底で
私と彼はレスキューダイバー。遊覧船が悪天候の影響で船が沈没した。私達はその捜索に当たっていた。彼は気が気でないだろう。なぜならば彼女の恋人が家族でその遊覧船に乗っていたのだから。彼女も彼女の家族も行方不明になってから一週間が過ぎた。彼はもう諦めている。だがせめて、私は彼の為に友人として出来る事は、彼女の遺体を見つけてあげる事だ。私達は深い海の底へとダイブした。
辺り一帯を探し回る。海は母なる大地であり、命の源であるが、時としてこんなにも恐ろしくて不気味な存在なのだと改めて思った。そして私は女性の遺体を見つけた。彼に確認すると彼女だと言った。そして彼女の衣服から何やら防水袋に入った紙が落ちた。手紙だ。私は彼と共に手紙を見た。その手紙は遺書だった。遊覧船に乗ったのが間違いだった。ごめんね。愛してた。大好きだよと書いてあった。
暗い海の底で心底憎いといった表情で彼は手紙を破り捨てた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます