第802話 さくらんぼ

赤くて小さな実が二つ隣通しに成っている。その植物は春の時期になると実が成り、人々を惑わせる。


「あ、さくらんぼが成ってるね。食べてみようか」


ここに一組の親子がいた。小さい子供の手を握り、その赤くて小さな実が成った木の枝に手をかける。若い父親は、さくらんぼの実を取った。そしてそれを口の中に放り込んだ。


「んっ。甘い。美味しい」


しかしその実は、危険な実である事を父親は知らなかった。


さくらんぼ――。

漢字で書くと「錯乱棒」


毒性があり、食べると脳が錯乱状態になってしまう非常に危険な実なのだ。

あの赤くてパフェの上なんかにも乗っているさくらんぼに非常によく似ていると注意喚起をしているが、錯乱棒は珍しい植物だから知らない人も多いのである。


「うわああああ。あああっ……」


錯乱した。その症状は1時間続き、そして収まった。致死量を食べなかったから命拾いした。春の錯乱棒にはご注意を。

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