第797話 とばっちりボーイ

僕はとばっちりボーイ。今日も散々な目に遭うのだった。家庭科室での調理実習、料理が下手くそな女の子が油を大量にフライパンに入れた。


「あっちいい!!」


油が僕の顔面に飛んできた。謝る女の子だったが、僕はいつもの事なので笑って許した。


休日になった。母はパートに出ている。

コンビニで昼ごはんを買って店を出た瞬間、不良が取っ組み合いの喧嘩をしていた。不良がこっちに飛んできて、僕の買った弁当が地面に落ちてしまった。


「あっ……」

「わりぃな」

「いえ」


僕は気にしない。いつものことだからだ。

家に帰ってテレビを点けた。占いをやっている。さそり座のあなた。僕の事だ。今週のあなたは絶好調。ラッキーです。ある意味でラッキーなのかもしれない。こんなにとばっちりを受けるなんて人生経験としては、とても貴重な経験をしているのではないか。そう考えると僕はラッキーだ。とばっちりボーイはポジティブなのさ。

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