第768話 ヒトデ

人の弱みに付け込み脅迫し、金品を要求する犯罪組織がいる。我々はそれをヒトデと呼んだ。ヒトデは今や勢力を拡大し、巨大組織となっている。裏社会との繋がりも大きくなり、警察も手を焼いているそうだ。探偵である俺は、警察官の黒岩からの依頼を受けてヒトデのアジトを捜索していた。ヒトデは用心深い。脅迫文からの指紋はもちろん、その他の物から手掛かりになるようなものは一切出なかった。


「ん?待てよ……」


ヒトデが取引先に使用する場所には、共通点があった。それは海の近くだという事だ。


「……まさかな」


俺の勘は当たった。犯罪組織ヒトデの潜伏場所を突き止めた。


「それでヒトデのアジトは分かったのか?」

「海の中だよ、黒岩さん」

「何だって?」

「ヒトデなんだ。本当に。奴らは本当にヒトデだったんだ。人間の仕業じゃなかったんだ」

「馬鹿な……」


ヒトデは、人間の困っている顔が大好きなんだ。ヒトデナシさ。

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