第748話 浮気ベンチ

既婚者は、あの公園のベンチには座らない方が良い。そんな噂を聞いた。あの公園のベンチは、浮気ベンチと呼ばれていて、座った男女は必ず浮気してしまうのだという。


「そんなオカルトチックな話、信じられないな。大体疲れたらベンチにくらい座るだろ。ベンチに座った一組の男女が偶然浮気して、それに尾ひれがついて噂になっただけだろう」


現実主義な俺は、そう思いながら馬鹿らしいとベンチに座った。


「すみません。隣いいですか?疲れちゃって」

「どうぞ」


綺麗な女性が座った。その瞬間、なんだかドキドキしてきた。これは……ま、まさか……。


噂は本当だったのか!?俺はこの女性と浮気してしまうのか!?


そう思った瞬間、俺は胸が苦しくなって倒れた。心臓発作だ。


「大丈夫ですか!?」


女性が慣れた手つきで人工呼吸と心臓マッサージをして救急車を呼んでくれた。彼女は医者だった。


こ、これは浮気じゃないよな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る