第725話 テレパシー少女と狼少年

私にはテレパシー能力がある。そんな私が彼と出会ったのは、小学生の時だった。彼と同じクラスになった。彼はいつも嘘をついていた。友達と楽しそうに振舞っているが、いつも心は寂しそうだった。悲鳴をあげていた。人を心の底から信用していない。他人との間に大きな壁がある。心の底から彼が笑う事はなかった。彼は嘘つきだ。嘘つきは嫌いだ。だから彼に嫌悪しながら声をかけた。


「嘘つき」

「えっ?」


彼は驚いた顔をした。そして後に事情を知った。彼の家は母子家庭だ。父親の暴力から逃げてきたらしい。母も毎日、仕事で忙しくて家では一人ぼっちだという。自分は誰からも愛されないと思ってしまった。でも笑ってれば表面上、誰かがそばにいてくれると感じたのだと分かった。


「私、テレパシーがあるの。私も人の本音が分かってしまって孤独だからあなたと同じ」


私も孤独。出会った二人の孤独。惹かれてしまうのは、自然なのかもしれない。

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