第693話 ニコニコ笑茸

この山にだけ生えているという幻のキノコ、ニコニコ笑茸を取りに山にやってきた。

「えーと、特徴はニコニコ笑っているように見えるっと……」

ニコニコ笑茸を探す事数時間、ようやくそれらしいキノコを見つけた。

「あった。これだな。……確かに笑ってる顔に見える」

早速持ち帰り、僕はニコニコ笑茸について改めて調べた。

最近見つかった新種の笑茸で、毒性がある。といっても軽いもので、しばらく笑いが止まらなくなる。食べたとしても命に別状はない。

「なら安心だ」

僕はどうしても笑わせたい人がいる。友人の忠道だ。忠道はいつもブスッとした表情で、全く笑う事がない。そんな忠道の笑った顔を見てみたいという好奇心からニコニコ笑茸を探しに行ったのだ。忠道を呼んで料理を振舞う。ただし忠道の料理の中だけには、ニコニコ笑茸が含まれている。

「あひゃひゃひゃ」

笑ったのは僕だった。謝って自分の料理にニコニコ笑茸を入れてしまった。

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