前のエピソード――第664話　人見知り専門病院

眼鏡なんて私には似合わない。私は眼鏡女子として今まで生きてきたが、眼鏡女子は頭が良さそうだとか暗そうだと思われてしまう。それが嫌で私は、思い切ってコンタクトレンズにすることにした。最初は目の中にコンタクトレンズを入れる事に緊張して慣れなかったが、最近になってようやく慣れてきた。私はいつものようにコンタクトレンズを買いに行った。

「新製品のハートコンタクトレンズどうですか？」

「どう違うんですか？」

「見えすぎて人の心の中まで見えるコンタクトです」

「あはは」

よく冗談を言うお姉さんの言葉だから信じていなかった。しかしまさかこのコンタクト、本当に人の心が見えるようになるなんて。私は視力だけでなく、人の心まで見えるようになった。良い人そうに見える人が実は黒い心を持っていたり、逆に悪そうな人が良い人だったり。世の中の人達の心と体のギャップに、私は面白くてつい吹き出してしまう事がよくある。