第641話 嫁メシア
メシアとは――
超人間的な英知と能力をもってイスラエルを治める王の事である。
旧聖書より。新聖書ではイエス・キリストの事を指す。
これは比喩的な言い回しである。
我が家は、イスラエルである。
そして我が家を収める王が妻であり、メシアである。
一家の大黒柱である私は、一家の電信柱のような扱いを受けるのだ。つまりどこにでもある柱であり、犬には小便をかけてマーキングされるような、そんな小さな存在。これも比喩的な言い回しだ。
今日もメシアはご乱心だ。
たまの休日。ゴロゴロして寝て過ごしていると、掃除機を体にぶつけられて……
「チッ……。邪魔」
リズミカルな舌打ちと邪魔と一蹴。
私の安息の地であるはずのマイホームは、メシアの支配下に置かれているのだ。
嗚呼、神よ。なぜ私はこんな仕打ちを受けなければならないのです。
「これも定めだ。外で遊んできなさい」
嫁は私の心の声を聞いたかのように言った。
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