第616話 色鉛筆の少女
弟が肺炎で入院した。一週間で退院できるそうだが、その間に弟は同室の隣のベットにいる女の子に恋をしたようだ。反応が実に分かりやすい。
「女の子の気を引きたいならプレゼントだよ」
「ええ……。で、でも……俺入院中だし」
「お姉ちゃんが買ってきてあげるわよ。任せなさい」
「でも何をあげればいいのかな」
「あんたがそれを考えるのよ」
弟は必死に考えていた。彼女の気を引く事ができるプレゼントは何が良いのかと。そして弟は私に言った。
「姉ちゃん。色鉛筆買ってきて。入院中でも遊べるだろ」
「あら。良い趣味してるじゃない。任せなさい」
私は28色の鉛筆を買ってきた。梱包までバッチリしたそれを弟に渡した。
「頑張りなさいよ」
「う、うん」
それから数日。二人は絵を描きながら仲良さそうにしていた。
「やったじゃん!!次は連絡先聞いときなさい。あんたもうすぐ退院なんだから」
弟は顔が真っ赤になった。
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