第607話 許嫁
無口で厳格な父が俺をリビングに呼びつけた。
「お前に話しておかなければならない事がある」
「何?改まって……」
「実はな――」
お前は俺の子じゃない。拾ってきた子だ。……とか?
「お前には許嫁がいる」
「……はっ?」
話を聞くと相手は、父の友人の娘だそうだ。そして許嫁は今週末、うちに来る事になっているらしい。寝耳に水だった。
「いやいや、ちょ、ちょっと待って。そんな。急すぎるよ。今週末って。許嫁って。ってか許嫁って……」
「お前に拒否権はない。腹を決めろ」
「そんな……」
それに俺には好きな人が……いや、そんな人いないわ。だって俺、恋愛に疎いんだもの。……って、いや、待って。超絶ブスが来たらどうしよう。どうしよう。
そして週末が来た。家のチャイムが鳴る。
「初めまして……じゃなくて久しぶり」
そこに現れたのは、昔、一緒に雪だるまを作った初恋の女の子だった。
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