第592話 拗ねた私
彼との喧嘩は、本当にくだらない些細な事だった。
「いや、コーヒーはブラックだろう。あの苦味だが良いんだ。お前はミルクや砂糖を入れるなんてお子様だな」
「何よ!!そんな言い方ないじゃない!!」
怒った私は席を立ち、カフェを後にした。
「おい、待てよ。まだ話は終わってないぞ」
彼が急いで会計を済ませて、慌てて私を追いかけてきた。ふふっ、計算通りね。
「そう怒るなよ。確かに俺の言い方が悪かった」
「…………」
私は拗ねた振りをした。
「わかったよ。機嫌治せよ。サービスするからさ」
「ほんと?」
「ああ、ほんとだ。30%オフ」
「もう一声」
「じゃあ40%オフ」
「もうちょい」
「わかったよ。半額。50%オフでいい」
「やった。じゃあよろしく。契約成立ってことで」
彼は殺し屋。私はただの依頼人。
でも彼、私にちょっと気があるみたいに見えるから、安くしてもらってるのよね。これも作戦。
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