第495話 自意識過剰ネクタイ
ショーケースに入っていたそれは、なんだか異彩を放っていた。私はそのネクタイに一目惚れし、店に入ってショーケースに入っているネクタイを下さいと言って購入したのだった。
営業の仕事をする上でネクタイは、その人の魅力を引き出してくれる。私を一目惚れさせたそのネクタイは、とてもセンスが良くて、誰もが見惚れてしまうだろう。きっとそうに違いない。これは明日からの仕事において、何か良い影響があるだろう。
私は翌日、早速新しいネクタイをした。出勤すると女性事務員の笹田さんが話しかけてくる。
「おはようございます。あら、近藤さん。そのネクタイ、いつもとなんだか違いますね」
「おっ、分かる?さすがは女の子だね。よく気が付くね。これ高かったんだよ。見る目があるね。どう?似合ってる?」
「……え、ええ。似合ってますよ」
彼女のリアクションを見て、私の買ったネクタイは、自意識過剰ネクタイだった事に気づいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます