第461話 遅れてきた男

俺を含めて3人の新入社員がいるそうだ。俺はいつもよりも早く目を覚まし、余裕を持って職場に着いた。もう一人の新入社員の男もやってきた。あとひとり。しかし就業時間になっても、最後の一人は来なかった。


「時間です。朝礼を始めます」


時間になり、朝礼が始まった。


「今日から3名の新入社員がきます。自己紹介をしてください」


一人目の自己紹介が終わり、俺の番になった。俺が自己紹介をしている途中、俺の横にサッと遅れてきた男が並んだ。見ている他の社員達の視線が厳しい。あーあー、終わったな。初日から遅刻かよ。そして俺の番が終わり、次に遅れてきた男が話す。


「いやー、昨日は明日から仕事だと思うと緊張して25分しか眠れませんでした。やはり特別な日というのは、緊張してしまいますね。えー、私の名前は――」


そのトーク力は、まさにプロ。

遅れてきた男は、遅刻を逆手に取って良い意味で目立っていた。

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