第385話 出会った男性恐怖症と女性恐怖症
私は男性が苦手だ。声が低くて怖い感じがするし、大きな声だし、力も強いし暴力的だったりもする。私は男性恐怖症だ。
ある時だった。職場の中途採用で新しく30代の男性が、うちの職場に入社してきた。見た目は色白で、指先はピアニストのように細い。
「き、き、きょ、今日から入社する事になりましたた、たた高木です。よ、よろしくお願いします」
彼は、ガチガチに緊張して挨拶した。高木さんの研修を私が担当する事になった。しかし彼からは、全く男っぽさが感じられなかった。だから普通に接する事ができた。
「あ、あの……吉田さん……」
「はい?」
「こ、ここはどうすれば……」
「ああ、そこはね――」
だが彼は、いつまで経っても私に対して緊張していた。
「いつも思うんだけどさ、そんなに緊張しなくていいよ」
「す、すみません。ぼ、ぼ、ぼ、僕……女性恐怖症なんです」
彼の突然の告白に、男性恐怖症の私も驚いた。
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