第384話 カヌレさん
私がパン屋をオープンさせて一年が経った。幸いな事に沢山のお客さんに支えられて今日までやってこられた。うちのパン屋には、常連のお客さんも多い。中でも一番印象的なお客さんは、やっぱりカヌレさんだろう。カヌレさんは、毎日来てくれる。朝のオープンと同時に来て総菜パン一つとカヌレを買っていく。名前は知らない。いつもカヌレをセットで買うからカヌレさんだ。
「おはよう」
「おはようございます。いつもありがとうございます」
「今日はカレーパンとカヌレを一つずつ貰おうかな」
「分かりました」
「ここのパンはね、私の楽しみの一つなの。でもこのお店って裏通りに建ってるからあまり立地も良くないでしょ?前に入ってたカフェも潰れちゃったの。私、ここにはなくなって欲しくなくてね。カヌレを知り合いに配って宣伝してるの」
そうか。カヌレさんの口コミのおかげでお客さんが増えたのか。本当に感謝してもしきれない。
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