第383話 失われたコーン~LOST OF CORN~

冬の寒さが堪える夜、私は自販機を見つけた。

ありがたい。何か温かい飲み物を……。


ホットコーヒー?それともお茶?

それも悪くないが、私の目を惹きつけたのは、コーンスープだった。私は硬貨を入れてコーンスープのボタンを押した。ガコンッと音が聞こえ、コーンスープの缶が出てきた。


「熱っ!!」


缶はかなり熱い。私は缶のプルタブを開き、コーンスープを口に運んだ。クリーミーで濃厚な味が、体を芯から温めてくれる。コーンスープは、ミステリアスな食べ物だ。コーンスープは洋食であると思われているが、しかし海外では、ほとんどコーンスープを見かけない。発祥の地はどこなのか定かではないのだ。


最期の一滴まで飲み干した。ここで自販機のコーンスープの大きな問題に直面する。……そのはずだった。


「……ない」


いつもなら缶に残るはずのコーンが、なぜかなかったのである。


失われたコーンはどこへ行ったのか……。

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