第370話 悲縛り

メロが死んだ。私が飼っていた犬だ。メロは、私が生まれた年に生後三ヶ月で我が家にきた。私と一緒に生まれ育ってきた兄弟のような存在の犬だった。メロは、小4の春に死んだ。


「うっ……ううっ……メロ……」


私が十一年生きてきた人生の中で最も悲しい出来事だった。涙が枯れるまで泣いた。夜、私は泣き疲れて眠りについた。


……えっ?

か、体が動かない!?


私は悲しすぎて悲縛りになってしまった。そのまま体が動かないまま、長い時間が経った。


「そんなに悲しいならメロの元へ連れていってあげる」


そこに現れたのは、この世の者とは思えない醜い姿をした化け物だった。死神?

私に悲縛りをかけたのは、この化け物だ。


「嫌っ!!行きたくない!!私はメロの分も頑張って生きるんだ!!」

「ワンッ!!」

「えっ!?メロ!?」


メロが化け物に嚙みついた。

化け物は姿を消した。私の体は、スッと動くようになった。

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