第321話 醜い顔
醜い顔になった。自分の顔を見て私は、怒りの感情が深く深く込み上げてきた。私は、駅前を歩いている時に通り魔に硫酸を顔にかけられた。そのせいで周りから美人だと言われていた私の顔は、とても醜いものになった。犯人の男は、その場にいた男性数人が取り押さえてくれてすぐに捕まった。男は傷害罪で懲役7年の実刑となった。たったの7年。私は一生この顔に苦しまされるのに、あの男は7年刑務所にいるだけで出てこれる。法律が男を裁いてくれる。でも被害者の私の心は、報われない。腸が煮えくり返っているなんて表現だけでは、到底収まりようのない怒りだ。どうしても自らの手で復讐し、あの男に同じ目に遭わせないと気が済まない。私は、計画を立てて実行に移した。男の顔面に硫酸をかけてやった。男は苦しんだ。
嗚呼、最高の気分だ。
この日をどれだけ待ち望んでいたことか。
私の醜い顔は、今はなんだか清々しいさわやかな顔になっていた。
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