第278話 空き巣

ガシャンと窓ガラスの割れる音。隣の家からだ。そしてガサゴソと部屋を荒らすような音。そして風呂敷を背負った男が窓から出てきたのを目撃した。


「てめぇ、この野郎!空き巣か!」

「いや、違います!!違うんです!!」

「違う訳ねぇだろ!!風呂敷背負ってどこからどう見ても典型的な空き巣じゃねぇか!!」

「いや、待って!ちょ、ちょっと待ってください!典型的な空き巣なのには訳があるんですよ!!」

「つまんねぇ言い訳するな!警察に叩き出してやる」

「はい、カットー!!」

「あーあー、NGだよ……」


そこにはカメラマンと監督がいた。どうやら隣の家で映画の撮影をしていたらしい。そして俺は、泥棒役の人を本物の泥棒と勘違いしてしまったらしい。


「えっ!?もしかして映画の撮影!?すみません!!」

「そうだ。あんたもチョイ役で映画に出ないか?今のシーン使おう。泥棒を追いかけよう」


これが俺の映画デビュー。


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