第245話 たこ焼きをおごって

自販機で飲み物を買い、ベンチに座って飲んでいた。


「ねぇ、今日泊めてくれない?家出しちゃってさ、泊まる所ないんだ。泊まらせてくれたら良い事してあげる」


そこには少女がいた。


「お前未成年だろ?そういう事するな。大人しく家に帰れ」

「帰りたくないの」


ぐぅーっと少女の腹が鳴った。


「飯、食ってないのか?」

「お金ないし」

「……しょうがねぇな」

「やった!泊めてくれるの!?」

「違う。ちょっと待ってろ」


屋台のたこ焼きを買って少女に渡した。


「ほら、食えよ」

「うん」


どうして家出したのか訳を聞くと親と喧嘩したらしい。


「ありがとう。話聞いてくれて」

「スッキリしたか?」

「うん。スッキリした。私、家帰るよ」

「そうか」

「ありがとう。たこ焼きのおじさん。どこかで会ったら、またたこ焼きおごってね」

「おい、お兄さんって言えよ」

「じゃあね!」


家出か。俺も昔よくしたな。

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